コラム

no.026
人事が主導する「組織変革」の第一歩

2016年03月24日 | 取締役 菅桂次郎

「変革」「革新」「イノベーション」「新たな価値の創造」。
多くの企業のHPにおいて経営トップが発するメッセージには上記のようなキーワードが必ず盛り込まれている。

一方で、「業績」という単年度の現業成果の獲得に対するプレッシャーは外部の人間が想像している以上に高く、人事は「中長期の変革」と「短期業績」の板挟みの中で、改めてその存在価値の再定義を余儀なくされている。

この板挟み構造の中で、『いったいどこから手を付けていけばよいのか・・・』という相談を受けることが本当に増えており、我々としても単なる教科書的な理想論や美辞麗句を並べて回答をするのは、あまりにも失礼であると考える。

  • では、変革に向けて何から始めるのか。
  • 来期になって急に、『新たなビジネスモデルが生まれる』ことはない。
  • 来期になって急に、『社員の変革力が高まる』こともない。
  • 当然、地道な取り組みがあってこその最終アウトプットが「変革」であることは誰もが理解はしているはずである。

このテーマを論じるには少々の勇気が必要になるが、敢えて今回のコラムでは「変革に向けて人事が為すべき第一歩」について考えてみたい。

そもそもの前提となるが、「会社」という個人は存在しない。新たなモノは「人」という個人やチームが生み出すものであり、さらに「生み出す行為(変革)」は「人や組織の能力」で為されるものである。また、「変革」にはゴールがない。継続的に生み出されるべきものであり、一つの新商品ができたからといって、組織変革が達成されたとは言えない。

そのため、「変革力の高い組織」には、

  • (1)新たなことに挑戦し続ける個人が存在する
  • (2)個人やチームが変革能力を磨き続けている

という二つの条件を兼ね備えていることが重要となる。

多くの企業の場合、「変革」というキーワードを掲げているものの、この二つの条件と相対する「安定」というメッセージを各種人事施策の中で発信していることが多い。 能力開発も人事評価も採用も、「より確実に」「より安定的に」が結果として現場が受けるメッセージとなってしまっている。それは、経営や人事の皆様が考えている以上に、である。

人事の方々を対象とした弊社のセミナーでも、必ずこの点を問う。「皆様の組織において、人事から発せられるメッセージは『変革』になっていますか?」と。

具体的には、職能資格要件の内容、昇進昇格要件の最重視項目、階層別教育テーマの変革比率などについてをチェックいただくと、多くの企業では、変革とは真逆のメッセージが現場に伝わっていることを再認識し、愕然とされる参加者が多い。『わかってはいたけど、これでは変革人材は生まれませんね・・・』と。

気分を害される方もいらっしゃるかもしれませんが、勇気をもって敢えて言いたい。

『これまでと同じことを繰り返していては、変革人材は生まれません。』

人事が最初に為すべきは、『人事自らが変革の推進者になる』ということに尽きると思う。
変革力の高い「人事組織」として、

  • (1)人事の社員が誰よりも変革に挑戦している
  • (2)人事の社員が誰よりも変革に必要な素養を磨き続けている

という状態を如何に創り出すことができるかが、皆様の企業に変革をもたらし、継続的に成長・発展していくための第一歩だと。

今回のコラムでは、勇気を振り絞って敢えて人事の皆様にとって厳しい内容のメッセージを送らせていただきました。それだけ、組織の変革には人事の皆様の『戦い』が必要だということに加え、皆様の企業が、新たな価値が継続的に創出される組織になっていただきたいという損得勘定を抜きにした私個人の一途な思いでもあります。

人事の変革なくして、全社の変革なし

そのための支援に、我々は全力を尽くしたいと思います。