コラム

no.048
人材開発における永遠のテーマ…「研修効果は測れない?」

2018年1月31日 | 取締役 吉田卓

「その研修は本当に役に立っているのか?」「その研修をやって、どれくらい効果があるのか定量化しろ!」「そもそも、その研修は実施する意味があるのか?」・・・

教育研修に携わる人にとって、これらは周囲からよく聞こえてくる声であり、また、常に自問自答を繰り返しながら、追求している問いの1つではないだろうか。

以前から「研修の効果測定」というテーマでお客様から相談を受けることはあったが、近年、各社で「教育効果の可視化」を求める声がより高まっている。背景を探っていくと、「経営陣から、研修の成果や費用対効果について、報告や説明を求められるようになった」という回答が圧倒的に多い。

ただし、「“なぜ”、研修の成果や費用対効果が求められるようになったのか?」そして、「そもそも、“何を”測定しましょうか?」という私からの問いにはお答えいただけないケースは少なくない。つまり、「研修成果を測定する“成果”」の定義が曖昧なのである。

「リーダーはいかにして成長するのか」という実証研究結果として、7割が仕事上の直接経験、2割が他者との関わりからもたらされ、研修のようなフォーマルな学習の貢献は1割であると言われている。

確かにそうかもしれない。だとしたら、その研修はどのような「1割」であるべきだろう。そして、「研修の成果や効果」を何と置くべきなのか?人材育成に携わる全ての人に改めて、考え直してほしい。

研修効果を測定するために、受講後にアンケートや理解度テストを行ってみたり、事後課題やアクションプランシートを提出させてみたり、そして、360度診断で行動変容度を測定してみたりはするものの、結果として「効果が分からずじまいだった」という経験はないだろうか。

それは、「この研修を通して、どういう成果を導きたいのか」を明確に言語化していないことが大きな要因の一つである。仮に言語化していても、「管理職に求められるリーダーシップの強化」とか「上級マネジメント層に必要なマネジメント力の向上」など、極めて抽象的、かつ包括的で、具体性に欠けた研修目的やゴールを設定しているケースが圧倒的に多い。成果を測定するためには、数値や状態イメージが共有できるレベルの具体性で成果を定義できていなければ、検証のしようがない。

人材開発における永遠のテーマである「研修効果の測定」というニーズは、「成果の言語化」なくして実現しない。いくら、プロセスや方法論ばかりに検討と議論を重ねても、成果は測定できないのである。そして、この「研修効果の測定」こそ、私たちが普段から「成果」を意識せずに、仕事を進めてしまい、手段ばかりに関心がいってしまう「陥りがちな罠」の象徴的な一例なのかもしれない。

くわえて、研修におけるその成果は「教育」そのものが目的になっていないだろうか。企業内教育において、「教育のための教育、研修のための研修」であるかぎり、真の「成果」とは言えないのではないだろうか。

「経営陣から、研修の成果や費用対効果について、報告や説明を求められるようになった」という背景の1つには、「研修の成果とビジネスの成果の非連携」にあるのかもしれない。研修を“重要な「1割」”につなげていくのも人材開発に携わる人の使命であり、そのあたりを経営陣と擦り合せたり、合意したりする場づくりがまずは大きな第一歩目になっていくに違いない。

改めて言いたい。
「成果を測定できない仕事はない。そして、人材開発における成果は、常にビジネスの成果に直結しているはずである。」

自戒の念も込めて・・・