コラム

no.053
実践!リーダーの力を高める効果的な方法の検証

2018年6月28日 | 取締役 菅桂次郎

「リーダーの力を高めるためには何が必要か?」

我々が四六時中考えているテーマの一つである。
そして何より、クライアントからこの問いを投げかけられた際には、自らの実践値と理論とを関連づけて、より具体的な方法論までを可能な限り、シンプルに伝えられるような存在でありたいと常々考えている。

日々のお客様との会話の中でも、リーダーとしての力を高めるために、異業種交流や子会社への出向、最近ではベンチャー企業や産学官連携プロジェクトへの参加など、特殊な環境下での修羅場体験を積ませたいという声は多い。

そこで今回、リーダーの力を高めるために有効と考えられている環境、所謂「私という一個人が持つ純粋なリーダーとしての能力が問われる環境下」に私自身が飛び込み、その検証を図ってみたときの気づきを紹介してみたいと思う。

今回私が経験した環境とは、「マンションの大規模修繕プロジェクト」である。

ご存知の方も多いと思うが、実は昨今、将来の人口減少というマクロ環境の影響や東京一極集中などをはじめとする複数の要因から、マンションの老朽化と、それに伴う管理のあり方が社会問題となっている。

そしてマンションの耐久年数の観点から、老朽化防止や資産価値を維持するという目的を含め、十数年のスパンで大規模な修繕を行うというのが通例となっており、マンションの規模にもよるが、修繕費用として数千万円~数億円の意思決定が求められるのだ。

そして私の自宅も、“運良く”大規模修繕が必要なタイミングに差し掛かっており、住民の誰かがリーダーとなって何かしらの方針のもとに、大掛かりなプロジェクトを推進していく必要性に迫られていた。

一方で、面倒なことは避けたいという心理も働いてか、プロジェクトのリーダーには誰も立候補する人はおらず、当事者不在のまま時間が経過してしまっていた。その状況を見かね、「じゃあ私が」と口走ってしまった結果、ダチョウ倶楽部のネタのようにはならず、「どうぞどうぞ(じゃあお願いします)」と、“あっさり”と決定してしまった訳だが。

外部環境に視点を向ければ、消費税増税やオリンピック需要に関連する工事資材や人件費の影響など、極力コストを押さえたい立場としては悠長なことは言っていられない状況だ。また、同じマンションの住人とはいえ、子育て世代もあれば、リタイヤ世代もあり、同じ子育て世代でも、子供の数も年齢もライフスタイルも様々であるため、リーダーシップを発揮しないことには、話がまとまらない。

さらには、発注先の選定基準の明確化や、専門用語満載の工事会社との折衝、現状維持なのか予防や投資までを含めた修繕にするのかといった方針、自分たちがこれまで積み立ててきた限りある予算との兼ね合いなど、必ずしも協力的ではない人を含む、様々な利害関係者を巻き込みながら、多くの意思決定を下していかなければならない。

プロジェクトを成功裏に終えられるかどうかは、まさにリーダーの働きかけの質に左右されるのだ。

ポジションパワーも使えない、専門知識もない、価値観も考えも異なる集団、意思決定を先延ばしできない、予算は自分たちが積み立てた所謂自腹の貴重な資産、挙げればきりがないが、リーダーシップを鍛えるうえで、これ以上の良質な環境はなかなか出会えるものではないのかもしれない。

まだまだ道半ばであり、今後更なる修羅場に直面することもあるのだろうが、所属組織から離れた社会のコミュニティの中で、様々な問題を解決していく経験は、「リーダーの力を高める場」として効果的な環境であると私は実感した。

そして、私という「個」の力が問われる環境は、その質の差こそあれ、学校のPTAや自治会の活動など、実は日常に溢れている。社会が抱える問題はいくらでもあるのだ。リーダーの力を高める方法は、リアルなビジネスの場だけに限定せずとも、私たちの目の前にいくらでもある。